ベトナム サパ・バクハ 2002.4.17 - 4.26

山岳少数民族に会える町(サパ)


ハノイから午後9時半の夜行列車に乗ると、中国雲南省との国境の町ラオカイに朝5時半頃到着する。電車の到着時間に合わせて、ラオカイ駅からサパ行きミニバスが出ており、ミニバスで山を一時間ほど登るとサパの町へやって来る。サパの町に近づくと、インディゴで染められた紺色の民族衣装を身に着けた黒モン族の人々が畑仕事へ向かったり、サパの町へと歩いている姿が目に入ってきた。ラオスで会った少数民族とは違い民族衣装を着ている男性の姿が多いのにまず驚いた。工事現場でもベトナム人に混じって民族衣装を着た男性が働いていた。

サパの町では、近くの村からやって来て、住み込みでお土産売りをして家計を助けている黒モン族の女の子が大勢いる。住み込みとは言っても、簡素な宿泊所が町にいくつかあり、そこで女の子達はざこねで寝ているのだ。ベトナム人の世話人がおり、掃除や食事の用意をしてくれるらしい。人見知りしない積極的な彼女達は、上手な英語で観光客に話しかけて来る。中には英語がかなり上手くなった女の子達がおり、ベトナム人のホテル経営者の人々に信頼される彼女達は、トレッキングガイドとして観光客を近隣の村々へ案内してくれる。

村で育った黒モン族のガイドは、ベトナム人ガイドが出来ないこと、知らない事を私達に教えてくれた。葉っぱを使ってフエのように音楽を奏でたり、別の種類の葉っぱをげんこつの上でたたいて爆発音をさせたり、生姜に似た味の野生の植物の茎や味のないたけのこのような茎の芯を食べさせてくれたりと、サパ周辺の自然と共に育った彼女達ならではの案内をしてくれる。

また、市場にあるモン族の衣類を売っているおばさん達とジェスチャーで話していると、どこからともなく顔見知りになった女の子がやって来て通訳をしてくれとても助かった。

お土産売りをしている黒モン族の女の子の中でも、ひときわ小さい女の子がいた。ランという名前の7歳くらいの女の子は、他の人から聞いた話によると両親とも大酒のみで、初めてサパの町へやって来た時はとても汚くてみすぼらしい格好をしていたそうだ。今は他の女の子達に教わったのか、いつも清潔にしていて、英語も覚え、小さいながらもがんばってお土産売りに励んでいる。しかし大人とのスキンシップに飢えているのか、仕事よりも観光客と一緒にふざけて遊ぶほうが楽しいようであった。小さなランちゃんはすっかり私達の心を捉えてしまった。9日間サパに滞在した後、バスで中国へ向けて去る時、小さな長靴を履いたランちゃんは、私達の姿が見えなくなるまで、ずっとずっと手を振って見送ってくれた。小さな彼女の手を振る姿は私達の目に焼き付いて、その後長い間懐かしく思い出す事となった。

サパに滞在中私が風邪をひいてしまったので、ウェスは宿泊先のホテルのウェブページを作成した。(www.geocities.com/MountainViewSapa/)オーナーのベトナム人女性ニン・ホンは、以前はサパで女性初のトレッキングガイドとして働き、市場近くにニン・ホン・ホテルという小さな宿を経営していた。一年前に見晴らしの良い今の場所に20部屋以上ある、大きなマウンテン・ビュー・ホテルMountain View Hotelをオープンした。働いている女の子も皆親切で、とても居心地の良い宿である。黒モン族の子供達の魅力と、マウンテン・ビュー・ホテルの居心地の良さで、サパに9日間も滞在したが、9日後にもまだ出発する気になれなかった。早めに雲南省に入らなければと、自分達に鞭打ってようやく重い腰をあげたのだった。

バクハの日曜マーケット

サパから車で3時間位東にある町バクハでは、毎週日曜日に盛大なマーケットが開かれる。周辺の村から主に花モン族の人々が集まるマーケットは、とてもカラフルでまるで虹が降ってきたよう。サパからは日曜日の早朝サパを出て、バクハのマーケットを見学し、その後近くの村へトレッキングをしてから、サパに戻るツアーが出ている。多くの人は途中のラオカイ駅で降ろしてもらい、夜行のハノイ行きの電車に乗る。

サパの小さな診療所

宿泊したマウンテン・ビュー・ホテルで一年の内半年間サパに来て、小さな診療所を開けているアメリカ人ピーターに出会った。友人達から寄付されたお金で薬品等を揃え、少数民族の人々を無料で治療している。難しいケースの場合はラオカイやハノイの病院へ送るが、交通費や治療費はピーターのお金や寄付されたお金で賄っている。先進諸国では一般の人が簡単に受けられる治療が、少数民族にとってはとても払える金額ではないそうだ。例えば最近のケースでは、白内障でほとんどの視力を失った老人が孫の手に引かれて数日間歩いて、ピーターの元へやって来た。ラオカイの病院で手術して両目が見えるようになったが、この手術にかかった費用は1万2千円程だ。日本では1回か2回飲みに行って使ってしまう金額だが、少数民族の人々にとっては一生かかっても払えない金額だ。ピーターの友人のように、サパ周辺の少数民族の医療費として寄付したい場合は下記へ連絡を。
Peter Rambo
5156 Solar Street
San Diego, CA 92110
USA
Rambopeter@hotmail.com
宿泊先のホテルの前にいた二人の黒モン族の女の子。黒モン族の女の子は、銀細工のアクセサリーやフエなどを売って生計を助けている。右の女の子はトレッキングガイドとして働いている。
トレッキング・ガイドのマイは器用に葉っぱで音楽を奏でることが出来る。ウェスとレニーは真似をしたが変な音しか出なかった。
バクハからのトレッキングで行った花モン族の村にいた赤ちゃん。ウェスがデジカメで写真を撮って見せると、とっても喜んでウェスの言葉を真似してしゃべっていた。
バクハの日曜マーケットで花モン族の老人が食用の犬を売っている。
バクハの日曜マーケットで、衣類の品定めをする花モン族の女の子。
バクハの日曜マーケットで買い物をする男性。
バクハの日曜マーケットでアイスキャンディーを楽しむ花モン族の女の子達。

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