フランス プロバンス・Vaucluse地方 2000.11.10 - 2000.11.17

プロバンスはもう冬

マルセイユに到着してから、Aix-en-Provence、アプト、Chasteuil、ニース、カシスとプロバンス・コートダジュール地方を1周してからまたマルセイユを経由してアプトのあるプロバンスのVaucluse地方へ戻ってきた。今度はローマ時代の遺跡が数多く残るオランジュ、中世にローマ教皇庁として栄えたアビニョンを見る目的でアビニョンの近くの家を1週間借りたが、既に訪れたアプトや近くの町並みがまた見たくなって、まず最初にそちらに足を伸ばすことにした。

プロバンスでのある一日

早起きしてアプトの朝市に出かける。1週間分の野菜と果物、2種類のオリーブ漬け、フランスパン、2ダースの生牡蠣、チーズ、卵等を買う。帰り道はメイン・ロードを避け裏道をゆっくり運転しながら、すっかり葉の色が変わったぶどう畑や、ぽつぽつと顔を見せる、落ち着いた石造りの家々が並ぶ村を眺める。遠くには雪をかぶったVentoux山を見て、ようやく今は冬であることを思い出す。朝と夜はかなり冷え込むが、今日のように天気の良い日中はぽかぽかと暖かく、冬であることを忘れてしまう。

途中珍しく開いているワイナリーに立ち寄る。道に出ているサインには開店中と出ているがワイナリーには誰もいない。お店の開店時間を確認すると12時から2時までお昼休みなので、あと10分で開くはずだ。車の中で新聞を読みながら待つことにする。しかし2時過ぎてもワイナリーは開かず、2時半までねばったが誰も来ない。やっぱり適当だなあ。諦めて家に帰る。

買い物を冷蔵庫に閉まった後、庭で買ったばっかりのオリーブをおつまみにして宿のオーナーがくれたマスカットワインをちびちび飲みながら、自分で(飼い主なしで)散歩に出ている犬や猫の姿や、ツール・ド・フランスにそのまま出て行けそうなはでな格好をしたサイクリストの人々の姿を眺めて、本を読んだりコンピュータを使ったりする。

5時過ぎて日が低くなるとさすがに寒くなる。ちょうど夕焼けがきれいな時間なので近くの裏山まで散歩に出かける。野生のタイムとローズマリーが群生していて、葉っぱに指をこすると食欲を誘う良いにおいがする。明日は天気が良ければ、近くに見える山まで登ってみようと計画する。(次の日は気の重くなるようなどんよりとした曇り空と、うっかりしてたら吹き飛ばされそうな強風でハイキングは中止。)

夕飯はアプトの朝市で仕入れた生牡蠣と新鮮なレタスのサラダとフランスパン。ひとり12個の生牡蠣はさすがに多過ぎて、生牡蠣はしばらく食べたくない。明日は近所で朝市があるようだが、生牡蠣を買うのはやめよう。

将来の住みか

プロバンス地方ほど高い期待を抱いて訪れた所はない上に、その期待をまったく裏切らないところもまたまれな存在である。特にVaucluse地方は観光としては季節はずれの11月に訪れても、自然の豊かな環境に囲まれた村や町の魅力は私達の心をすっかり捕らえてしまった。また来年戻ってこようと早々と決めてしまった所は、今まで旅をしていて始めての経験である。

観光案内所で見るパンフレットにある写真は、ラベンダーやポピーやひまわりの花が咲き乱れる夏の写真がほとんどである。11月にこんなに魅力のある地方は、観光シーズンまっさかりの時にはいったいどういう表情をみせてくれるのだろうか。しかし観光シーズンにはあまりに混みすぎていて、人込みがにがてな私たちはいやになってしまうのだろうか。

アプトに滞在している時あたりから、こういう所に将来住めればいいなと思うようになったと同時に、世界旅行の目的のひとつは将来住みたい町を探すことがあったことを思い出した。今まで滞在した町で将来住む機会があれば住んでもいいかなと思う町はあったが、ここのように是非住んでみたいと心から思えるところは初めてだ。

また同時になぜこの地方が自分達にとってこんなに魅力があるのかを考えることで、私達にとって何が大切なのかに気が付くきっかけにもなった。自然が豊かで、町の規模が小さく、週末に山登りが出来て、新鮮な農産物が手に入るような町が今のところ理想である。そして仕事が見つかれば言うことがないが、それが一番の難問である。


アビニョン

元教皇庁からみたアビニョンの町。お昼を食べたレストランで知り合った人が写真左側のホテルに滞在していたのだが、教皇庁をライトアップする為の照明がホテルのすぐ横に付いていて、夜中明るくて寝れなかったそうだ。

Côte du Rhoneのワイン試飲のお祭りにて。酔っ払いの若者達から写真撮るならワイングラスを通してから撮ると良いよと教えられて撮った一枚。ワインを貰うためにテントに群がる群衆は皆酔っ払っていて愉快な人々だった。河原でクラシック音楽に合わせての打上げ花火があり、とても幻想的で楽しいエンターテイメントだった。

Les Baux de Provence

Les Baux には崖を上手く利用して建てられた古いお城のお城が残されている。ガイドブックによると小さい町なのにパリの次に観光客が多く訪れるところだとか。私達が訪れた11月の夕方にはほとんど人がいなくて、落ち着いてゆっくり見ることが出来た。

お城の上から見下ろすと眼下にはオリーブ畑とぶどう畑が広がっている。11月の風はさすがに寒い。
オランジュ

オランジュにあるローマ劇場の舞台背後の壁は高さ37メートル、幅103メートルあり、、ローマ時代から残る劇場のなかでも保存状態が特にすばらしい。劇場には1万人を収容できるスペースがある。昔は階級別に座るところが分かれていた。今でも利用されている。

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