中国 雲南省・元陽 2002.4.27 - 5.3

棚田と少数民族マニア天国

ほとんどの旅人はその存在すら知らずに雲南省を去ってしまう町、元陽。私達も国境の町河口(ヘーコー)から省都昆明(クンミン)へ抜けてしまう予定であった。しかしベトナムのハロン湾のボートで知り合った中国系マレーシア人のリムから雲南省で一番好きな町として教えてもらい、予定を変更して訪れる事にした。元陽は雲南省紅河ハニ族イ族自治州にある。ベトナム国境の町からは、毎日一本朝6時に直行バスがあった。河口からは、タイヤのパンク修理時間を2回入れて、約8時間。昆明から昼間直行で来た場合の時間は分からないが、車で来た人は8時間かかったと言っていた。夜行バスは途中数時間休憩をとり、朝7時位に元陽につくよう時間調整をしてくれる。

雲南省は少数民族の宝庫であると言われる。人口の3分の1は、少数民族であり、中国に住む56の民族の内、25の民族が雲南省に住んでいる。しかし漢族の影響を受け、民族独自の伝統文化はだんだんと失われつつあるという。元陽は観光客がほとんど訪れないというのも魅力のひとつだが、周りの町で毎日どこかで開かれている市場や、郊外にある広大な元陽棚田も大きな魅力だ。周辺の村で開かれるマーケットには、民族衣装を着た少数民族が近くの村から集まって来て、民族衣装の華やかさや種類の多さに圧倒された。

マーケットの日時は中国の暦(例えば鶏の日)で決められているらしく、詳しい人に教えてもらわないと分からない。しかし旅行者には強い見方がいる。香港出身のタム(Tam)がバックパッカー用のゲストハウスを元陽で経営しているのだ。元陽周辺の少数民族に見せられて、長い放浪生活の後ここ元陽に落ち着いた彼のゲストハウスには、彼が撮影した少数民族や美しい景色の写真が飾られていて、この地の探検意欲をそそるのだ。ゲストハウスは3部屋のみのこじんまりとした家で、タムさん家に泊めてもらっているという感じだった。宣伝嫌いのタムさんはガイドブックに載るのも嫌という珍しい性格だが、口コミで噂が広がり、私達が到着した日には他には誰もいなかったのに、滞在していた1週間の間にぞくぞくと口コミで知った人々がやって来た。昼ご飯や夕飯は泊まっている人揃って、タムさん行きつけのこれまたアットホームな食堂に出かけて、あっという間に親しくなれた。タムさんいわく、元陽はナイトライフがまったくない所だし、ガイドブックだけ見てなんとなくやって来る人や、泊まっている人々と仲良くしたくない人々はあまり泊まって欲しくないそうである。少数民族に興味があり、観光客向けでない町に訪れて、タムさんや他のゲストと楽しいひと時を過ごしたいと思われる方は下記まで。

Backpacker Rendezvous
(+86)873-5624625(中国国内からかける時は、0873-5624625)

タムさんは英語・広東語・北京語がしゃべれる。お客さんがいない時は、ぷらーと旅行へ出かける時もあるので、前もって電話を入れておくと良い。元陽は過去2年間旅行していた中で、一番観光客の少ない町であったが、元陽の事を教えてくれたリムが1年前に来た時は、一週間一人も観光客を見かけなかったそうなので、確実に観光客の数は増えているようだ。今の魅力的な状態がいったいいつまで続くのであろうか。

元陽へ訪れてからこのページをホームページに載せるまで、2ヶ月以上の月日が経った。その間中国南西部を旅行してきたが、少数民族の種類の多さ、民族衣装の色鮮やかさ、棚田の美しさ、ゲストハウスの居心地の良さ、行きつけの食堂のおいしさと、どれをとっても元陽に勝る場所はなかった。中国南西部の一番のハイライトに最初に行ってしまったようである。


元陽
老猛のマーケットでひよこを物色するタイ族とハニ族(紫の民族衣装)の女性。
老猛のマーケットで冷蔵庫にもたれてアイスキャンディーを食べる、伝統的なヘアースタイルのハニ族の男の子。
老猛のマーケットで、鮮やかな色彩のねんねこで赤ちゃんを背負う花ミャオ族の女性。
老猛のマーケットで、銀製品の磨き粉を実演販売している男性の周りに群がる花ミャオ族の女性達。
老猛のマーケットで、道行く人々を見つめる花ミャオ族の老女。若い女性達とは対照的な民族衣装が面白い。
老猛のマーケットで見かけたヤオ族の女性。ヤオ族は他の民族と比べて外部の人間を疑い、閉鎖的な社会を維持しているそうだ。
老猛のマーケットで買い物をする、見事なかつら(?)をかぶったイ族の女性。
老猛のマーケットで買い物をする、違う種類のヘッドドレスを身に付けたイ族の女性。
馬街のマーケットで買い物をする、ハニ族の女の子。二人が履いているプラスチックのサンダルは政府から配給される物。美しい伝統的な民族以上とは対照的だ。
馬街のマーケットで見かけた別のハニ族の女性は、この近辺のハニ族としては地味な色合いの民族以上を着ていた。
おばあちゃんに手を引かれて馬街のマーケット出かける、イ族の男の子。
元陽のマーケットで買い物をする、珍しいヘッドドレスを身に付けたハニ族の女性。
目が利く人は民族衣装の刺繍の模様で(色は関係ない)、何族の物かを言い当てることができる。元陽のマーケットで見かけたハニ族独特の幾何学模様を身に付けた女性。
元陽のマーケットで出会ったハニ族の赤ちゃん。似たような帽子を元陽で見つけて、思わず買ってしまった私達である。
元陽のマーケットでカラフルなねんねこで赤ちゃんを負ぶい買い物をするハニ族の女性。
元陽のマーケットで買ったばかりのお祭り用ヘッドドレスを試すイ族の女性。
青口にある民族村では伝統的なかやぶき屋根の家々が並ぶ。しかしこの辺りでは珍しく入場料をとる所でもある。
青口村のハニ族の女の子。
元陽の周辺にはこのようなすばらしい棚田が見られる所がいくつかある。元陽からはミニバスで行けるのでとても便利だ。この写真は猛品の近くの棚田。
膝まで水に浸かって田植えをする様子は、まるでゆっくりと緑の絵の具で色を塗っているよう。しかし農民の人々にとってはそんな流暢な事は言ってられない、大仕事だ。
この地域では多くの農民が色鮮やかな民族衣装で田植えをしている姿が見られる。

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