中国 雲南省・瀘沽湖 2002.5.8 - 5.10

神秘的な湖

瀘沽湖は標高2688メートルにあり四川省と雲南省の境に位置している。透明度が高く、近くの峠から見下ろすと青くくすんだ姿が見え、とても幻想的である。湖の周辺にはモソ族と呼ばれる少数民族が住む。古くからの女家長制社会で、家の財産は女の子供が相続した。またアチュウ婚と呼ばれる、夫婦関係の男女が一緒に住まず、それぞれの両親の家に住み続け、夜だけ男性が女性の家に通ってくるというスタイルの結婚が行われていた。二人の間に出来た子供は女性の家に所属した。

今ではごくわずかな人々にしかこれらの伝統は受け継がれていない。しかしこの地域の観光キャンペーンの一環として、モソ人の伝統が利用される事となった。「女の国」と銘うち、女家長制社会やアチュウ婚の事が中国全土に大々的に宣伝された。宣伝文句を聞くと、まるで女性が社会の全てに渡り権力を握っているかのように聞こえるが、女家長社会とは言っても、昔から行政等は男性にコントロールされていた。観光用宣伝文句と現実の社会との格差がかなりあるようだ。

湖を遠くから見た時には、とてもきれいだと感動したのだが、湖畔の町に来てみるとなんだか雰囲気が私達に合わなかった。そんな時、宿で出会ったアメリカ人と中国人大学生が上記のような話をしてくれたのだ。彼らは大学の研究で瀘沽湖畔のチベット仏教のお寺に住み込みで数週間住んでいる間に、いろいろな話を仕入れる事が出来たそうである。観光用の民族衣装を着ていないと罰金を取られる事もあり、キャンペーンの宣伝文句に沿うように村人達はがんばらずにはいられないのかもしれない。この大学生二人と話をして、なんとなくではあるが、どうして瀘沽湖畔の町が好きになれなかったのかが分かった気がした。

瀘沽湖畔の村に付く前に通り過ぎる峠から見た瀘沽湖。ここからの景色が一番良かった。向かい岸は四川省。
瀘沽湖周辺に住むモソ族の女性。観光に携わる人々は、民族衣装を着ていないところを見付かると罰金を取られる。
瀘沽湖へ向かう途中通る、寧浪の町で見かけた占い師。
瀘沽湖へ向かう途中通る、寧浪イ族自治県に住むイ族の女性は、大きな黒いヘッドドレスをかぶり、その姿はまるで中世ヨーロッパの貴族のような優雅さがある。

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