ラップトップ第2号
1997年に中国に返還された香港だが、経済面や外交面の一部は返還前と同じシステムが継続されている。例えば、通貨は香港ドルを使い、税制も現状維持、ビザも返還前と同じで、中国ビザは香港へ入ると切れてしまい、中国へ戻る場合は新しく申請しなおす必要がある。日本人の場合、香港へ入国するにはビザは必要ない。このように書き連ねると、外国人にとっては、香港は中国の一部というより、外国という印象を受ける。
しかし、変化は目に見えないところで、徐々に起きているようだ。例えば、官公庁のシステムは変えられているようだし、私達が香港にいた時には、国会が急に解散され、国会メンバーが中国政府に指名された人々に総入れ替えされたそうである。
私達が香港に行く目的は、主に二つあった。一つは、日本で友人が買っておいてくれたラップトップ第2号を受け取る事。(きーこ、ありがとう!!!)もう一つは、新しい中国ビザを申請する事だ。きーこが日本で問い合わせてくれた先でも、中国と香港に長く住んでいる日本人の方にも、コンピュータは中国に送らないほうが良いとアドバイスされていた。税関で没収される恐れもあるし、途中でなくなる可能性も高いという。そこで、TAX FREEの香港へ送る事にしたのだ。日本から香港へ郵便局のEMSサービスを利用して、郵送料は保険を含めて、4,350円だった。受け取る時には税金を取られる事もなかった。
どうせ香港へ行くなら、香港でしか出来ない事を済ませてしまおうと、長いリストを作ってあった。例えば、スターウォーズの第2作を映画館で見る、壊れたOakleyサングラスを取り替えてもらう、英語の本屋でカザフスタンの情報を探す、AMEXオフィスでメールを受け取る、デジカメやPalm Pilotのドライバーをダウンロードしてインストールし、次の目的地である上海行きの寝台列車券を買うなどだ。数日間でどの位終わらせる事が出来るだろうと考えていたのだが、香港へ到着して5時間位でほとんどを終わらせてしまった。あまりにも便利で、簡単に物事が進んでしまうので、私達は香港のペースに追いつけなかった。カルチャーショックだ。つい一週間前には、バスに乗るのに丸一日待っていたのに。
新しい発見
カンボジアでコンピュータが壊れてから3ヶ月、ホームページの更新も日本語メールの送受信も出来ず、不便な思いをした。特にコンピュータの前に座ると時間を忘れて熱中するタイプのウェスは、片腕をもぎられたような心境だったようだ。私はこの3ヶ月の間に新しい発見をした。20歳の頃から、アメリカで大学へ戻った数年間以外は、ずっとコンピュータ関連の仕事をしていた。朝から晩までコンピュータとにらめっこの生活に嫌気がさしていて、旅行中に自分に合った別の職業を見つけようと考えていた。しかし、嫌でもコンピュータに向かわなくてはいけない生活から、自分でやる気になった時だけコンピュータを使う生活に変わり、そこから使いたくてもコンピュータがない生活に入った後3ヶ月経って気が付いたのが、私はもしかしたらコンピュータ関連の仕事に向いていたのかもしれないという事だ。友人が日本で買って、香港に送ってくれた新しいコンピュータに触れながら、自分について新しい発見をしたのだった。
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